悩み

リンパ浮腫で悩んでいる(事前に医療者から説明がなかった)。



助言


【リンパ浮腫とは】


リンパ浮腫は腕、足などに見られるむくみです。
乳がんでわきの下(腋窩)のリンパ節を切除したり放射線治療を受けたりした方、子宮がん、膀胱がん、前立腺がんなどで骨盤内のリンパ節や足の付け根(そけい部)のリンパ節を切除したり放射線治療を受けたりした方は、リンパ液の流れが悪くなることが原因で見られることがあります。
リンパ浮腫は、日常のスキンケア、自己マッサージ、弾性ストッキングやスリーブなどの着用により悪化を防ぐことができます。
手や足にむくみを感じたら、まず担当医に相談してみましょう。病院の相談室などを活用して、リンパ浮腫の指導や治療を行っている機関を問い合わせてもよいでしょう。


 

【リンパ浮腫を早く発見するためには】


◎ 注意する自覚症状
 「(患側手足が)重いような感じ」、「(患側手足が)だるいような感じ」など 
◎ 皮膚の状態を観察する
 指で圧迫したときに、痕が残るかどうか。皮膚が硬くはった感じはないかなど
◎ 腕や足の周囲をはかる
 どこか場所を決めておき、定期的にはかると良いでしょう。ただし、足などは立ち仕事をしていると、普段でもむくみがでることもありますので、起床時など時間を決めて、はかりましょう。
比較をしていくために、基準となる値が必要ですが、最初、手術後退院した際に、まず一度はかっておくとよいでしょう。
腕の場合ですと、はかる場所の例として、肘下5cm、肘上5cm、肘上10cmなどでよいでしょう。また、手の甲(たとえば、小指の先から何cmあたりと人差し指の先から何cmあたりを基準にするなど)、手首のところなどです。


 

【リンパ浮腫予防のための日常生活上の注意点】


リンパ浮腫は、予防と早期発見が大切です。リンパ浮腫が起こる可能性が考えられる場合、できるだけ浮腫が起こりにくいように注意しながら生活していきましょう。ただし、仕事や家事などいろいろな状況から予防的なことが十分できない場合があります。その場合でも、早期に発見して対処していくことが大切です。

日常生活のなかでも、以下のような点に気をつけましょう。
◎挙上
重力を利用して循環を促します。枕やクッションなどを使用して、心臓よりやや高い位置を保持するようにします。

◎ けがや虫さされなどによる感染を避ける
患肢(乳がんの場合、乳がんの手術や腋窩(えきか)リンパ節を切除した側の腕)は、リンパ液の流れが悪くなっているため、感染や炎症を起こしやすくなっています。
土いじりなどの時は、手袋をしたり長袖を着用するようにしましょう。また、万が一、虫にさされた時には、ひっかいたりして皮膚に傷をつけないように、まず流水で汚れやばい菌を洗い流し、腫れているときは、氷のうなどで冷やしましょう。かゆみがあるときは、かゆみ止めの薬を塗るなどしましょう。
また、日焼けの炎症でむくみが悪化することがあるので、日焼け止め対策を心がけましょう。

◎ 肌の清潔と手入れ
手洗いは、指と指の間、爪の間などもきちんと洗いましょう。また、肌の乾燥や角化を防ぎ、皮膚の保湿を心がけましょう。保湿クリームは、香料などの刺激物が少ないものを選びましょう。

◎ 重い物をできるだけ持たない
手術をしたほうの腕で、重い物はなるべく持たないようにしましょう。やむを得ず持つ必要がある時には、小分けにして持つようにしましょう。また、買い物などはショッピングカートを利用するなどしましょう。赤ちゃんや小さなお子さんを抱く場合には、膝やクッションなどを利用し、お子さんの体重が1か所に集中せず、分散するように心がけましょう。

◎ パソコン使用時の注意
乳がんで利き腕の腋窩(えきか)リンパ節を切除した方で、仕事等でパソコンをよく使う場合は、ひじが長時間圧迫され、わきにリンパ液が戻っていくのを妨げやすいので、ひじ枕(リストレスト)を使って手の重さを分散させたり、途中で手を休め、ひじの屈伸運動をするなどしましょう。

◎ 衣類について
下着などは、できるだけ締め付けないゆったりしたものを選びましょう。ブラジャーは肩ひもやアンダーバストの幅が広く、ゆるめのものを選びましょう。


 
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