悩み

術後の排尿障害のため、今後の生活がどうなっていくのか心配した。



助言


【1つ1つ問題を具体的な形に整理して行動してみましょう】


手術後退院前には、担当医から注意点など説明があったり、排尿障害がある場合は、看護師から自己導尿の方法、残尿測定などの指導、その他対応方法や注意点など説明があると思います。
説明や指導を受けた後は、その内容をもう一度頭のなかで整理して、自分の生活パターンとあわせてシミュレーションしてみて、わからないところや不安なことは確認しておきましょう。

ただ、説明や指導を受けていても、退院後に教えてもらった方法がなかなかうまくいかなかったり、日常生活での不便を感じると不安や焦りがでてきても不思議はありません。困ったりわからないことがあれば、その都度、担当医に確認したり看護師などに相談してみましょう。その際には、できるだけ具体的に不明な点、困っていることなどを伝えるようにしましょう。

残念ながら、排尿障害の原因や程度などによっては、長期間症状が持続する場合があります。自分なりの工夫をしながら、生活のなかで折り合いをつけていかなければならないこともあります。
今できること、しなければいけないことを積み重ね行っていくことが大切です。自己導尿などの処置が必要だったり、生活上の不便を感じることがあっても、一つひとつをこなしていくなかで、自分なりの工夫を見つけたり、生活のなかでの対応を覚えて自信がついたり、安心できることも見つかるはずです。

症状に関しての日常生活上の工夫などに関しては、同じ手術を受けた先輩患者さんなどの話を参考にしてみてもよいでしょう。病院で知り合った同病者同士でお話したり、患者会に参加したりするという方法があります。また同じ病気の人の気持ちや考え、体験を知りたいときには、闘病記を読んだり、あるいはインターネットで闘病記のブログを読んでみてもよいでしょう。
ただ、同じ手術をしたから症状が全く同じとは限らないので、同病者から話を聞くときには、その点も頭に入れておきましょう。


 

【手術による排尿障害の原因と症状】


術後の排尿障害といっても、いろいろなパターンがあります。尿もれ(尿失禁)などは、手術の影響だけではなく、年齢や出産経験など他の要因も加わっている可能性もあります。

手術によって排尿障害が起こる可能性があるがんの種類には、婦人科がん、直腸がん、前立腺がんなどがあります。
婦人科がんの場合、広汎子宮全摘出術を行うと、排尿障害や尿失禁が起こることがあります。これらの障害や症状は、手術で膀胱を支配する神経が傷を受けてしまうためという原因が一番多く、その他に膀胱周囲の炎症やゆ着などでも起こります。また放射線治療も行うと、手術の影響に加え放射線治療の影響で、筋肉(排尿筋)の萎縮や繊維化などが起こって固くなり、排尿時におなかに力をいれなければ尿が出なかったり、手術後に起こっている排尿障害の症状が増すことがあります。

尿意がはっきりしないなどの症状は、手術直後に一番強く、その後徐々に回復してきます。排尿障害は術後半年頃までには回復が期待できるといわれていますが、長期間持続する場合もあります。

排尿障害がある場合は、腹圧で排尿を促すために腹筋訓練を行うことがあります。これは、十分息を吸って下腹を膨らませて、息をとめてりきみ、息を吐くときに下腹に手をあてて圧迫する方法です。ただ、無理に押したり長時間腹圧をかけ続けると、膀胱のなかの圧を亢進してしまうので、無理のない範囲で行いましょう。
腹圧をかけての排尿が難しい場合や残尿が50cc以上ある場合は、自己導尿による排尿を行っていく必要があります。尿路感染を予防するためにも、残尿が50cc以下になるまでは導尿を続ける必要があります。


 

【骨盤底筋の体操(訓練)】


くしゃみなどでおなかに力を入れたときに尿がもれてしまう場合、腹圧性尿失禁と考えられます。これは、手術で骨盤底筋を傷めたり、加齢で起こったりします。この場合には、骨盤底筋の強化運動を行うことがあります。これは、尿道をしめる筋肉を鍛える運動です。効果が出てくるまでには、少なくとも1~3ヶ月かかります。ただし、効果が得られない場合もあり、失禁が強い場合には外科的治療が行われる場合もあります。

◎ 体の力を抜いてリラックス
◎ 背中をまっすぐにのばし、足を肩幅に開く
◎ 肩とおなかの力を抜く
◎ 骨盤底筋をしめる(尿を我慢するイメージで肛門をしめる)
◎ 骨盤底筋をしめたまま5つ数える
◎ 5回を1セットとして1日10セット行う
横になったまま、行う場合は、仰向けに寝て、足を肩幅に開きひざをたててからだの力を抜き、骨盤底筋をしめたまま(尿を我慢するイメージで肛門をしめる)5つ数えます。


 
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