悩み

脱毛がひどかったので、病院のナースにかつらのことを聞いたがわかる人がいなくて、体調の悪い中自力で本などから情報を集めた。



助言


【脱毛が起こる前からできること】


脱毛はすべての抗がん剤で起こるわけではありません。また、脱毛は抗がん剤を開始したらすぐに起こるわけではなく、開始してから2~3週間目くらいから起こってきます。通常抗がん剤治療は何回か繰り返して行いますから、抗がん剤を行っている間は脱毛が続きます。
脱毛が起こりやすい抗がん剤であると治療や副作用の説明でわかったら、できることを準備し始めましょう。脱毛が始まってからも、髪や地肌をいたわるためにできることを実行してみましょう。
その間、脱毛に対して自分ができることを具体的に行っていくことは、あなたが自分のために行う大切なケアです。

1. 脱毛が起こる前にできること
かなりの確率で脱毛が起こる抗がん剤の場合で、かつらの購入を考えているようであれば、事前に自分の頭の写真をとっておきましょう(正面、側面、後ろ側)。こうしておくと、実際にかつらを購入するとき、あるいは購入したかつらを整えるときに、今までの自分の髪型に近いものを選ぶことができますし、購入先で相談する際にも役立ちます。
また、脱毛が始まる前に、髪を短く切っておいたほうがよいでしょう。脱毛が始まると、髪を洗ったときなどに髪がからまり、ほぐれなくなることがあります(最終的には、その部分を切らざるをえなくなります)ので、からまらないようにするためです。また、ヘアカラーやパーマは、刺激になりますので、やめましょう。

2. かつらや帽子
かつらや帽子を選ぶときは、よく検討しましょう。
かつらは、借りることもできますが、手続きや申し込みから届くまでの期間などもありますから、借りることを検討しているときは、事前にホームページで確認しておきましょう。医療用かつらのレンタルをインターネットで探す際は、検索サイトで、『医療用かつら レンタル』で検索すると出てきます。
かつらを購入するときは、1)自分にあった素材を選ぶ、2)自分にあったスタイルを選ぶ、3)自分にあったカラーを選ぶ、4)価格を検討する、5)商品の機能特性を確認する、ことが大切です。
帽子を選ぶ場合、生え際が気になるときは、つばの広い帽子を選びましょう。ただし、強風時、かつらが飛ばされることもあります。風対策のときは、つばの広い帽子は一緒に飛ばされる可能性が高いので、フィット感のある帽子やバンダナで押さえるなどの工夫をしましょう。ご自宅では、スカーフやバンダナを使ってもよいかもしれません。なかには、帽子にかつらのような毛がついたタイプのものもあります。

3. 脱毛中のケア
脱毛中は、頭皮も敏感になっていますから、低刺激のシャンプーを使用し、こすらずに、優しく洗い流すようにしましょう。リンスやトリートメントは、基本的に髪に対して使用するものなので、頭皮を中心に洗い流すときは、お湯や低刺激のシャンプーだけでも構いません。ドライヤーも刺激になりますので、できるだけ控え、かけるときは冷風にしましょう。育毛剤も刺激になりますので、脱毛中は使わないようにしましょう。
また、脱毛は髪の毛だけではなく、眉毛・まつ毛・鼻毛などの体毛にも起こります。鼻毛がないと、鼻の中が乾燥し粘膜がいたみやすくなるため、外出時などはマスクなどを使用するとよいでしょう。眉毛は、眉ずみなどで書き、まつ毛がないと眼にごみが入りやすいため、注意しましょう。


 

【かつらの種類や毛質の違いなど】


1.かつらの種類
かつらには、以下のような種類があります。すぐ使えるかどうか、フィット感、費用などよく検討しましょう。
◎既製品
比較的安価なものからあり、購入した日から使用できます。サイズの調整は、できるものとできないものがあります。
◎セミオーダー品
髪の長さや分け目の位置、毛質など、いくつかの選択肢のなかから選べます。メーカーによってシステムや納期が違いますから、前もって確認しておきましょう。フルオーダー品よりは安価です。
◎フルオーダー品
その人その人の頭の形にそって型どりをして、ヘアスタイル・色・毛質など自由に選ぶことができます。自分の頭の形にそって作るので、フィット感もあります。ただ、値段が高く、できあがるまでに1ヶ月から数ヶ月かかります。どのくらいかかるか事前に販売店に確認しておきましょう。

2.毛質の違い
◎人工毛
アクリル系またはポリエステル、ポリアミドなどでつくられていて人毛よりも軽くできています。ただ、熱や摩擦に弱いので、後からパーマをかけたり染めたりはできません。また、てかり感もあります。
◎混合毛
人毛と人工毛をミックスして作られています。形はくずれにくいというメリットがありますが、パーマやカラーなどのスタイルの変更はできません。また、人毛部分が色あせすることがあります。
◎人毛
特殊加工した人の毛髪です。ドライヤーでセットしたり、パーマやカラーを変更することもできます。自然な質感を楽しめますが、色あせや枝毛などのダメージを受けることがあります。色あせはカラーを施せば大丈夫です。

3.分け目やかつらの裏側
分け目がネットの場合は、上からみるとネットが透けてかつらとわかってしまうことがあります。ただ、ネットの種類には、フィット感をよくする以外に、汗の吸収をよくしたり、分け目部分を隠すものもあり販売店によっても違うので、かつらの販売店でどういう種類のネットがおいてあるか確認して自分に合ったものを選びましょう。なお、ネットを着けていると、かつらがずれたときに気づかないことがあるので注意しましょう。
ネット以外に、地肌のようにみえる人工皮膚が裏側についているかつらもあります。

4.その他注意点
かつらの価格は、数千円から数十万円とさまざまです。抗がん剤による脱毛とか円形脱毛症などの時に用いるかつらを『医療用かつら』と呼ぶことがありますが、かつらは医療費控除の対象にはなりません(平成24年3月現在)のでご注意ください。

また頭の大きさは髪の毛があるときとないときでは、1~2cmほどかわります。髪の毛の量が変わり、頭の大きさも変わるので、かつらを購入する際はこの点も十分気をつけましょう。サイズが調整できるかつらもあります。

夏などの季節はかつらをつけると蒸れたり、暑いときがあります。脱毛時は、頭皮もデリケートになっていますから、汗などかいたときは特に清潔に注意しましょう。また、蒸れにくいように裏側のネットは通気性のよいものを選んだり、付け毛のついた帽子で代用してもよいでしょう。

かつらも自分に合うようにカットするのが一般的です。スタイリングをお願いする場所は、理美容院ですが、地毛とかつらをカットする技術は異なるそうです。どこへお願いするか迷ったときには、購入したかつらメーカーに相談してみましょう。


 
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