悩み

抗がん剤治療による手足のしびれが現在でも続き、書くことが好きだったのに嫌いになった。



助言


【しびれをやわらげる試みなどいろいろ試してみる】


『しびれが原因で文字がうまく書けずに困っている』という悩みの声は、悩みの調査の際だけではなく、いろいろな患者さんから聞くことがありました。『指に力が入らず、文字の線が細くなる』、『震えたような文字になる』、『書いている途中で<止め>のところが止まらない』、『指に力を入れて筆記具を持って書いていると、よけいにしびれてしまう』など、さまざまでした。
『今の自分の文字を見ると情けない』という方もいらっしゃいました。
書くことが好きだった方は、なおさらもどかしい思いやつらさがあると思います。

ただ、文字を書くというのも、指を使う運動の一つといえるかもしれません。
筆記補助具(高齢者、手や指が不自由な方などための筆記具の補助具、すべりにくいシリコン製のグリップを筆記具の指があたるところにかぶせるなど、いろいろ工夫されている>などを試してみてもよいでしょう。指に力が入りにくいときに、滑りにくくする、しっかりと筆記具を保持するための補助的役割が可能になる場合もあります。

しびれをやわらげる試みとして下記のような方法があります。全てのかたに効果があるわけではないのですが、自分のできることを試みてみましょう。

指先や足先がしびれているときに、これらを動かす(運動する)ことで、しびれがやわらぐことがあります。1日に数回、症状のある手足の筋肉を曲げ伸ばしする運動を数回ずつ行ったり、くるみを2個手のひらで転がしたり、くるみ大の小さな球やゴムボールを使ったり、手指の運動を行ってみましょう。
握力が弱った高齢者やリハビリ用に市販されているグッズもあります。そういったものをうまく活用しましょう。100円ショップ等にも置いてあることもあるようです。身近にあるものを代用として使ってもよいでしょう。

温めると血行がよくなり、しびれがやわらぐことがあります。入浴は、シャワーだけで済まさず湯船につかると、血行がよくなります。お湯につかっているとき、手指の運動も兼ね、手足の指先を動かしてみてもよいでしょう。
温めるという点では、特に寒い時期は、厚手の手袋や靴下で保温するのもよいでしょう。

しびれに対して対症的にお薬を使う場合もあります。ただ、日常臨床で使われていても、まだ科学的に有効かどうか検証されている途中のもの、十分に検証されていないものもあります。また、効果が期待できても、そのお薬の副作用(眠気やだるさ、ムカムカするなど)との兼ね合いで、慎重に検討する必要があります。
お薬を対症的に使うかどうかは、しびれの度合いや日常生活の支障、しびれのお薬の副作用との兼ね合いをよく検討した上になります。しびれがつらいときは、主治医とよくご相談ください。
実際に、さまざまな病院で使われているお薬に関しては、下記ページにより詳細な情報が掲載されています。
※『対症療法について』は、静岡がんセンターで作成した小冊子『抗がん剤治療と末梢神経障害』に、より詳細な情報が掲載されています。また、静岡がんセンターのHPでも読むことができます。助言の最後にある『関連情報』から、『対症療法について』に移動できます。

《参考文献》
(1)日本がんサポーティブケア学会編.がん薬物療法に伴う末梢神経障害マネジメントの手引 2017年版.金原出版
(2)市川度 編著.がん薬物療法の副作用ケアとことん攻略本.メディカ出版.2016
(3)飯田宏樹, 新田都子.痛み・神経障害ケア:がまんさせないケアへ.がん看護 2017; 22: 389-392
(4)草場仁志.末梢神経障害.がん看護 2017; 22: 222-224

(最終更新日:2020年4月17日)


 
参考になるホームページ
(1)静岡がんセンター 冊子PDF版『抗がん剤治療と末梢神経障害』
https://www.scchr.jp/book/manabi-body10.html
がんの薬物療法(従来型の抗がん剤や分子標的薬など)による手先・足先のしびれや感覚が鈍いなど末梢神経への副作用に対する心構えや具体的な対処法などについて紹介しています。全PDF版の他、ほしい情報の部分だけPDFでダウンロードできる分冊版もあります。
(2)静岡がんセンター 末梢神経障害を起こしやすい抗がん剤について:冊子・動画ダウンロード『抗がん剤治療と末梢神経障害』
https://www.scchr.jp/book/manabi2/manabi-body10/mashoshinkei_shogai_chemo5.html
冊子『抗がん剤治療と末梢神経障害』の分冊の一つのHTMLページ版です。スマホでみたいときは、こちらのほうが見やすいと思います。使用する頻度が高く、末梢神経障害を起こしやすい薬剤を表にまとめています。
(3)静岡がんセンター お薬別の末梢神経障害の症状について:冊子・動画ダウンロード『抗がん剤治療と末梢神経障害』
https://www.scchr.jp/book/manabi2/manabi-body10/mashoshinkei_shogai_chemo6.html#bmanabishinkei6-1
冊子『抗がん剤治療と末梢神経障害』の分冊の一つのHTMLページ版です。お薬別に、症状、患者さんの訴え、病態などを表にまとめています。
(4)静岡がんセンター 対症療法について:冊子・動画ダウンロード『抗がん剤治療と末梢神経障害』
https://www.scchr.jp/book/manabi2/manabi-body10/対症療法について-3.html
冊子『抗がん剤治療と末梢神経障害』の分冊の一つのHTMLページ版です。

 
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