悩み

抗がん剤の副作用による身体への負担が大きく、今健康な部分も含めて他の臓器への影響など心配だった。



助言


【抗がん剤治療は、からだ全体の状況をチェックし観察しながら行われます】


抗がん剤治療を行う際、担当医はまず開始前にその患者さんの全身の状態を調べ、心臓、肺、腎臓、肝臓などの重要な臓器に問題がないかなどもチェックします。
抗がん剤はその種類によって副作用が異なりますが、肝臓、腎臓などの臓器に影響を及ぼす可能性がある抗がん剤もあります。また人間にとって大切な血液をつくる造血幹細胞も抗がん剤治療によってはたらきが一時的に低下することがあり、『骨髄抑制』と呼ばれるこの副作用に関しても、医師は注意深く検査等でチェックします。
このように、医師は使用している抗がん剤の副作用による体への影響にも十分配慮し、抗がん剤開始後も注意深く観察と検査等によるチェックをしながら治療をすすめていきます。

近年、抗がん剤のお薬自体ずいぶん進歩してきていますが、進歩しているのはお薬だけではありません。抗がん剤の副作用対策も充実してきています。医師や看護師は、患者さんのつらさをできるだけやわらげるための対処を行ったり、やわらげる方法を患者さんにお伝えすると思います。副作用で心配なことがあれば、一度担当医や看護師に相談してみましょう。

抗がん剤治療の副作用は、副作用が出てくる時期が大体決まっています。ただ、副作用のなかには、回復するものと回復しにくいものがあります。また、抗がん剤治療は、何コースか繰り返し行うので、いったん回復した副作用が次のコースが始まるとまた出てくるので、治療を続けていく中で長く続くような感じがすることもあると思います。

副作用の多くは時期がくれば改善してきます。吐き気やおう吐、食欲不振、下痢や便秘などは回復してくる時期を患者さん自身が実感できると思います。一方、手足のしびれなどの神経障害は、抗がん剤治療が終了しても回復するまでに時間がかかります。脱毛も抗がん剤治療を行っている間は続くので、回復まで時間がかかると感じるかもしれません。だるさは、治療そのものによる影響以外に、吐き気や食欲不振などの消化器症状で栄養が十分とれなかったり、あるいは不眠がちになったりというさまざまな事柄が影響しますし、こころの状態によってもだるさの感じ方が異なってきます。
骨髄抑制の副作用も、時期がくれば回復してきます。骨髄抑制の期間は、感染や出血に注意する必要があります。

不安や気がかりを感じる要因はさまざまですが、自分の治療について理解することは、つらさをやわらげる助けになります。
◎ 自分が受けている治療はどういう薬をどのように組み合わせて行っていくのか
◎ 何コース、どういうスケジュールで治療を行うのか
◎ どういう副作用がいつ頃出てくる可能性があるのか
◎ それぞれの副作用はどのくらいの期間続くのか
◎ 副作用を予防するために、また副作用に対処するために自分自身でできることは何か
◎ 治療に伴う自分の体の変化を理解する(いつ頃どういう副作用が出て、日常生活にどういう影響が出ているのかなど)
たとえば、治療当日、1日め、2日めと日にち毎に症状や気づいたことことなどをメモしてみましょう。特に1回目の治療時は、説明を受けていても実感としてわかりにくいので、治療日記のようにメモをしていき、その結果を2回目以降の治療時にいかしていくとよいでしょう。

治療を受けるなかで副作用を予防したりやわらげるための自分でできる対処を実行していくことは大切です。そして、副作用などからだの変化を医療者に伝えることも大切です。その際、漠然と「副作用がつらい」と伝えるのではなく、いつ頃から、どういう症状があるのか、具体的に伝えましょう。


 
参考になるホームページ
(1)国立がん研究センター『がん情報サービス』:
http://ganjoho.jp/
『がん情報サービス』は、国立がん研究センターが運営するがんに関するさまざまな情報を提供するサイトです。2021年7月にサイトがリニューアルされています。トップページからは、病名から探す、がんの治療と生活、制度やサービスを知る、がんの予防・検診、資料室などで提供されているコンテンツの項目を確認できます。また、医療機関に関しては、がん診療連携拠点病院、小児がん拠点病院、希少がん情報公開専門病院などの検索や施設情報の概要などを確認できます。これまで発行した冊子などは、『資料室』のページからPDFでダウンロードできます。
(2)がん情報サイト:PDQ日本語版(米国国立がん研究所のがん情報サービス)
https://cancerinfo.tri-kobe.org/
がん情報サイトには、『PDQ最新がん情報』、『PDQがん用語辞書』、『NCCNガイドライン日本語版』などの情報があります。
『PDQ最新がん情報』は、治療(成人、小児)、支持療法と緩和ケア、スクリーニング(診断と発見)、予防、遺伝学的情報、補完代替医療の情報があり、それぞれ『患者様向け』と『医療専門家向け』の2つのボタンがあり、より詳しい情報は『医療専門家向け』から得られます。

 
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