悩み

食欲はあるが、思うように食べられないことがつらい。



助言


【胃の働きと変化を理解しましょう】


胃は、口から食道を通って入ってきた食べ物が一度に腸に送り込まれないように、一時的に食べ物を胃のなかにとどめて、消化液の一つである胃液によってタンパク質を分解消化し、消化された食べ物を十二指腸に送ります。また、胃液は、食べたものを酸性にして殺菌し腐敗を防ぐ効果もあります。胃の入り口側にある『噴門』は、消化液が食道に逆流するのを防いでいます。
胃を切除(もしくは部分切除)すると、これらの働きが低下したり、消失することになります。また、胃の切除(もしくは部分切除)によって胃の大きさ自体も小さくなりますから、一度の食事で十分に食べることはできません。また、胃の手術をした後は、ダンピング症候群、腸閉塞(イレウス)、逆流性食道炎、小胃症状などが起こることがあります。まず、胃を切除した後の変化(胃が小さくなった、ダンピングやイレウスなどが起こることがあるなど)を念頭におき、食習慣の改善を試みてみましょう。
実は、胃を切除した後の食事に関しては、原則的には何を食べてもかまいません。ただ、胃が小さいので、いっぺんにたくさん食べて栄養をとることはできません。少しずつ何回かにわけて食べたり、少しでも栄養の高いものをとるようにしてみましょう。


 

【切った胃に合わせた新たな習慣を身につける】


残念ながら胃の手術後に、残った胃がだんだん大きくなって元通りになったりするわけではありません。胃が小さくなったりなくなったりしたぶん、他の消化管でおぎない食習慣を変更していかなければいけません。ですから、早食いやほとんどかまずに丸呑みするような食事をしていた人は、元の食習慣を改善し新たな食習慣を身につけていかなければなりません。
また、胃を切ったことで、胃液の出が少なくなったりなくなるので、胃液による殺菌力が低下してしまいます。食中毒などを起こしやすくなるので、食事はできるだけ新鮮なもの、または火の通ったものを食べるようにしましょう。
手術で噴門を切除すると、横になったときに胆汁などの消化液が食道に逆流し、食道が炎症を起こしたり、胸やけが起こることがあります。食事が終わったらすぐ横にはならず、しばらく座っていましょう。また寝る前に何か食べると、寝ている間に消化液が逆流し、朝目が覚めたときに胸やけを起こしてしまうことがあるので、寝る前に食べるのはやめましょう。

胃を切ったことでこれまで胃が行っていたはたらきが低下して起こる様々な症状(胃切除後症候群)には注意が必要ですが、基本的には、食事の種類や内容に関しては特に制限はありません。ただし、以下の3点は基本的な事柄として続けていきましょう。

◎ よくかんでゆっくり食べる
胃の手術をすると、胃のはたらきをどこかで補っていかなければいけません。よくかむことで、食べ物は細かくなり、また唾液で消化も助けます。
◎ 1回の食事量を減らして回数を多くする
胃を切ったことで胃は小さくなりますから、つめこみすぎれば苦しくなります。そこで、1回の量を減らして回数を多くする必要がでてきます。最初は、3回の食事と3回の間食という6回食が目安ですが、3ヶ月を過ぎてくると、少しずつ1回の量を増やして間食の回数を減らしていけるかもしれません。ただし、1回に食べられる量、食事回数を減らす時期などは個人差があります。自分にとって適当な1回量をみきわめていくのはあなた自身です。また食事回数を減らしていくのも、1回の食事量とあわせて徐々に行っていきましょう。
◎ 食事は規則正しい時間に食べる
消化を少しでも助けるために、規則正しい時間に食べることは大切です。


 
Copyright © 2007-2024 Shizuoka Cancer Center. All rights reserved.