悩み

尿意を感じにくく、尿の出方がすっきりせず、尿漏れがあり、パットを使用しなければいけないこともある。



助言


【子宮がん術後の排尿障害について】


子宮がんで広汎子宮全摘出術を行った場合、子宮の周りを広範囲に切除するために、手術で膀胱の神経が傷ついてしまったり障害を受けたりすることがあり、尿意がない、尿意を感じにくい、尿が出にくい、尿もれなど膀胱機能障害のリスクが高くなります。この膀胱機能障害は、多くの場合一過性ですが、時に排尿障害がずっと続くことがあります。
また、尿もれは手術による影響だけではなく、中高年の女性の場合、加齢による筋力低下などで膀胱と尿道を支える骨盤底を支える力の低下、尿道・膀胱の機能低下などで、腹圧性尿失禁や切迫性尿失禁などが起こりやすくなります。


 

【排尿日記をつけてみましょう】


排尿日記については、入院中に指導を受け、退院後もつけるように指導を受けたかもしれませんが、ずっと日記をつけることを苦痛に感じたり面倒に思ってやめてしまう人も多いかもしれません。
ただ、現在の自分の尿に関するつらさや問題を人に伝え自分の状況を理解してもらうためには、漠然と「尿のことで困っていて・・・」というだけでは伝わりにくいでしょう。もう少し具体的に自分の排尿状態、日常生活で困っていること、自分が排尿障害に対して現在行っていることなどを伝える必要があります。
日記には
○排尿や尿漏れがあった時間
○およその量(排尿量、自己導尿した場合、残尿量)
○尿意の強さ
○およその飲水量
○尿もれがあった場合、そのときの状況
○その他備考
などをつけてみましょう。とりあえず、3日から1週間くらいつけてみましょう。


 

【排尿障害への対処方法】


◎ 腹圧
十分息を吸って下腹をふくらませ、息をとめていきみます。次に、息を吐くときに下腹に手をあてて圧迫します。ただし、あまりいきみすぎると、膀胱内の圧力があがりすぎ尿が尿管に逆流し、膀胱の変形や腎機能障害を起こすこともあるので、注意しましょう。
◎ 一定の間隔でトイレに行く
尿意が感じにくい場合に、一定時間を目安にトイレに行き排尿するようにしてみましょう。トイレでは、下記のように温水洗浄便座の機能をうまく利用してもよいでしょう。
◎ 陰部にぬるま湯をかける、水の音を聞く
最近は、家庭でも外出先でも温水洗浄便座を設置しているところが多いと思います。温水洗浄便座であれば、ビデの機能を利用して陰部を刺激する、また便座に設置してある「流水音」を利用してもよいでしょう。
◎ 残尿がある場合は自己導尿で
残尿があると、細菌が繁殖して膀胱炎や腎う腎炎になることもありますので、腹圧をかけて排尿しても残尿がいつも100cc以上あるときは、自己導尿しましょう。
◎パッドの種類
尿もれがあるときに、生理パッドで代用する方がいらっしゃいますが、生理パッドは、もともとの目的と異なるので逆戻りしてしまう場合もあり、ニオイも気になる場合があります。尿もれの際に使用する尿もれパッド(尿吸収専用品)を使いましょう。尿もれパッドは尿もれの程度により、5~200cc位と様々な種類があります。


 

【骨盤底筋の体操(訓練)】


くしゃみなどでおなかに力を入れたときに尿がもれてしまう場合、腹圧性尿失禁と考えられます。これは、手術で骨盤底筋を傷めたり、加齢で起こったりします。この場合には、骨盤底筋の強化運動を行うことがあります。これは、尿道をしめる筋肉を鍛える運動です。効果が出てくるまでには、少なくとも1~3ヶ月かかります。ただし、効果が得られない場合もあり、失禁が強い場合には外科的治療が行われる場合もあります。

◎ 体の力を抜いてリラックス
◎ 背中をまっすぐにのばし、足を肩幅に開く
◎ 肩とおなかの力を抜く
◎ 骨盤底筋をしめる(尿を我慢するイメージで肛門をしめる)
◎ 骨盤底筋をしめたまま5つ数える
◎ 5回を1セットとして1日10セット行う
横になったまま、行う場合は、仰向けに寝て、足を肩幅に開きひざをたててからだの力を抜き、骨盤底筋をしめたまま(尿を我慢するイメージで肛門をしめる)5つ数えます。


 
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