悩み

手術した痕やその周辺の痛みがあり、つらい。



助言


【がんの手術が原因となる痛み】


がんを治療する目的で行った手術の結果として、痛みが生じることがあります。
どの程度の痛みがあるか、その痛みがどのくらいの期間続くか、ということについては、人によって違いがあります。
多くの場合、がんの治療によって生じた痛みは、時間がたつにつれてやわらいできます。ただ、時間がたち、痛みをほとんど感じなくなっていても、体調が悪い時や湿度が高いときなどは、思い出したように痛みを感じることもあります。
患者さんも医療者も、治療によって生じる痛みについては、“がんを治すためなのだから、仕方がない”と考えてしまいがちです。
しかし、痛みが強かったり、長く続いたりすると、体を動かしたり、人と話したりすることもつらくなり、日常生活のさまざまな場面で支障がでてきます。そして、あなたの痛みがどれほどつらいかは、あなた自身が表現しない限り、他の誰にも正確に計ることはできないのです。
もし痛みが続くようであれば、医師や看護師に症状を伝え、しかるべき対策を取ってもらうことが大切です。
“この程度の痛みはがまんしないと”という思いから、痛みを伝えることに躊躇する患者さんもいらっしゃるようですが、痛みをがまんすることは、ストレスや疲労の原因にもなります。
遠慮せずに、あなたの方から積極的に伝えるようにしましょう。


 

【自分で痛みを評価して人に伝える】


痛みのつらさは、本人でなくてはわかりにくいものです。痛みの治療の第一歩は、あなた自身が痛みを評価して、医療者に伝えることです。
ただ、痛みは主観的な感覚なので、ほかの人にわかりやすく表現するのがなかなか難しいことも事実です。
そんな時には、次のように整理しながら話すと、相手に伝わりやすくなります。箇条書きのメモを作っておいて、診察に持参したり、担当医に手渡したりするのもよいでしょう。

○ 『どういうときに痛みが強くなるのか』
○ 『どのあたりが痛むのか』、『言葉で表現するとどういう痛みなのか』(きりきり、ずきんずきん、ずしーんなど)、『痛み止めを使っているとしたらその効果はどうなのか』
○ 『どのくらいの強さで痛むのか』(「全く痛くない」を「0」とし、「耐えられない程痛い」を「10」とした場合、数字でいくつと表現できるか)
○ 『日常生活で困っていることは何か』


 

【長く続く痛みへの対処】


がんの治療が一段落ついた後、定期的な検査で体に特に異常がないにもかかわらず、痛みが長く続くようであれば、担当医に相談して専門の医師を紹介してもらうことを考えてもよいでしょう。
最近では、『ペインクリニック』、『疼痛外来』、『ペイン外来』などの名称で、痛み治療の専門窓口を設けている病院も増えています。また、痛みの種類や原因によっては、麻酔科や形成外科に相談することが、痛みの解消に役立つこともあります。それぞれの窓口で対応できる痛みとそうでない痛みがあるので、受診する前に自分の痛みの状況を伝えて、対応してもらえるかどうか確認するようにしましょう。
長く続く痛みに対処するためには、毎日の生活の中で、痛みを和らげるための自分なりの工夫をしてみることが有効的なこともあります。そのためには、どんな時に痛みが楽になるのか、『痛みの日記』をつけてみるのもよいでしょう。
痛みがやわらぐ状況は、時間帯、そのときしている活動、取っている姿勢など、人によっていろいろなきっかけがあります。『痛みの日記』をつけることで、“痛いところを温めたら楽になった”、“○○さんとしゃべっている時は痛みを忘れていた”、“よく眠った次の日には痛みが減った”など、自分自身の痛みがやわらぐきっかけに気づくことができます。
その中から、自分にとって一番よかった対処法を、日常生活に取り入れてみましょう。


 
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