悩み

父をがんで亡くしたとき、医師に対する不信感が生まれたため、自分のがんも主治医も信用できなかった。



助言


【医師との信頼関係】


信頼できる医師というのは、その人自身(患者さん自身)の価値基準が入ってきます。自分は、医師に何を求めるのか、責任感がある、人柄がよい、専門的知識・技術を身につけている、説明を十分に行ってくれる、話しやすいなどいろいろあると思います。自分が相手に求める基準に満たない場合に不信感が生まれ、一度、相手に対して不信感をもつと、悪い印象の部分が強調され、それまで特に気にしていなかった部分についても否定的にとらえることが多くなります。また、その印象は、個人にとどまらず、同じ職に就く人々、病院全体へとひろがっていきます。
しかし一部が、その他全てに当てはまるとは限りません。人間関係は、自分か相手、または周囲の人が働きあって変化がみられたときに、好転しやすくなります。あなたと主治医の関係は、これからが始まりであり、お互いに築きあげていくものだと思います。信頼関係を築くには、相手を知り、同時に自分を相手に伝えることからはじまると思います。自分のからだの状態について質問することはもちろん、検査や治療に関する気持ち、思いも伝えてみて下さい。


 

【医療者と向き合う時間】


医療者とうまくコミュニケーションをとっていくためには、あなた自身が積極的に働きかけることや、短い時間であっても、医療者と向き合う時間を有効に使っていく工夫をしていくことが大切です。
最近では、がんの治療も通院で行う治療が増え、また入院が必要な場合であっても、以前に比べ入院期間自体が短くなっています。特に、外来診療では1人あたりの診療時間も短いと感じることが多いかもしれません。また、入院の時であれば、検温などで定期的に患者さんのベッドサイドに来ていた看護師も、外来診療では人数も少なく、なかなか話しかける時間がないと感じることでしょう。
そこで、あなた自身ができることをまず始めてみましょう。


 

【良好なコミュニケーション、信頼関係を築くためにあなた自身ができること】


1. 『不安や不信』につながっている原因を自分のなかで整理してみましょう
まず、あなたが今不安に感じていること、疑問に思っていることをノートなどに書き出します。最初は、長い文章で自由に書いてみて構いませんが、書き終わったら読み直し、最終的にかじょう書きにしてみます。

たとえば「○○の検査結果が知りたい」、「○○という症状がどうして起こっているのか知りたい」、「○○をどう対処したらよいか知りたい」などです。ただ「いろいろ聞きたいことがある」、「忙しそうで話しかけられない」というのではなく、具体的に整理することが大切です。

2. 外来の場合は、特に予習・復習をしてみましょう
短い外来時間を有効に使うためにも、予習・復習をしてみましょう。
予習は、次の外来で実施予定の検査、あるいは結果の出ている検査、今ある症状や困っていること、担当医や看護師に聞きたいことを書き出し、整理してみることです。これは、できるだけ1行以内の箇条書きにして、間に空欄を入れておきます。この空欄は診察時や復習のときに使います。
復習は、診察室での診療のなかで、大切なことを自分なりに書き出して、まとめてみることです。その場では、すぐ聞けなかった疑問などがあったら、次の外来時に確認できるように、予習のところに、箇条書きで加えておきましょう。

3. 疑問、不明なことをそのままにしておかない
疑問や不明なことをそのままにしておいてはいけません。そのままにしておくと、少しずつコミュニケーションのずれが積み重なり、不信感につながります。
医師は説明したつもり、患者さんはわかったつもりでは、信頼関係を築くのは難しいでしょう。


 
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