【いろいろ話せ、聴いてくれる場所と人を探す】
いろいろなからだの変化や状態を気軽に話せ、聴いてくれるということにどういうイメージを持っていらっしゃるのでしょうか。
医療関係者を中心とした相談員が対応する相談窓口、気持ちの分かち合いやお互いの体験から得られた知識などの情報交換なども行われる患者会、最近、がん診療連携拠点病院を中心に設置する医療機関が少しずつ増えてきている『患者サロン』、がん体験者の方々などがされているピア・カウンセリングなどいろいろなグループ、仕組み、機関などがあります。
【自分がかかっている病院の相談室を利用する】
最近では、相談室、相談員を配置している病院が少しずつ増えています。実は、自分がかかっている病院にも相談室があることを知らない患者さんも大勢いらっしゃいます。一度、病院の総合案内などで確認してみましょう。
自分のかかっている病院だと、話の内容が担当医や看護師に筒抜けになってしまうのではないかと気にされる方がいらっしゃいます。原則的に、相談者(患者さん)のプライバシー保護は守られているはずですが、心配であれば、相談担当者に確認してみましょう。
まったく知らない相談室よりは、かかっている病院の相談室のほうが、わかっている点も多く、身近に何でも相談できる場所や人をつくることは、あなたのこころのケアにもつながると思います。
【がん診療連携拠点病院の相談支援センターを利用する】
全国のがん診療連携拠点病院(厚生労働省が指定)には、相談支援センターが設置されており、電話相談を実施しているところもあります。国立がん研究センターがん対策情報センターの『がん情報サービス』のホームページでは、各都道府県の相談支援センターのリストと相談方法や相談員の職種、時間などの一覧表を閲覧できますので、ご参照ください。電話相談は、相手の顔がみえないことで、緊張せずに気持ちを話せるかもしれません。
![]() 国立がん研究センター『がん情報サービス』:相談先を探す https://ganjoho.jp/public/index.html [相談先・病院をさがす]では、成人や小児の相談先・病院一覧(がん診療連携拠点病院、小児がん拠点病院)を病名や地域、病院の種類などから探すことができます。 |
【その他の相談窓口を利用する】
例えば、日本対がん協会では、『がん相談ホットライン』という電話相談を行っています。ここでは、患者さんやご家族のこころの悩みや人間関係の悩み、経済問題など幅広い相談に応じているようです。
![]() 公益財団法人 日本対がん協会:がん患者・家族の支援 https://www.jcancer.jp/consultion_and_support 日本対がん協会のホームページです。『がん患者・家族の支援』のページには、看護師やソーシャルワーカーが対応している『がん相談ホットライン』、社会保険労務士によるがんと就労の電話相談などの相談に関する情報があります。詳細は、それぞれのページをご確認ください。 |
【患者さん同士の交流】
『患者さん同士だからこそわかる悩みや気持ち』というものもあります。また、直接、患者さんをみている担当医や看護師には言いにくいこともあると思います。
同じ病気の方や同じ治療をした方とコミュニケーションをとりたいとき、入院時に同室になり友人になったという方もいらっしゃいますし、担当医が同じでいつも外来の待合室で顔を合わせているうちに、少しずつお話をするようになったと言われる方もいらっしゃいます。同じ病院で治療をしていたり、同じ担当医だと顔を合わせる機会も多く、また共通の話題もありますから、話がしやすいかもしれません。
患者会には、原発の部位別になっているもの、がん全般のものなどがあります。大きな患者会になると、都道府県毎に支部などがある場合もありますが、全体的にみて、患者会の種類や活動も大都市などが多く、地方では探すのもなかなか大変ということもあります。
インターネットでは、患者会や患者支援団体がホームページを開設し、そのなかで『掲示板』などでやりとりしたり、『メーリングリスト』で情報交換している場合もあります。遠方の方でも参加できるようにインターネットを中心とした活動をしている団体もあります。
それぞれの患者さんが個人で開設しているホームページもあります。ご自分の闘病日記のようなものをのせている方も増えています。直接のやりとりではないのですが、同じような病気の患者さんの闘病記も、患者さんの経験や思いがつづられたものなので、読んでみてもよいかもしれません。
ただし、情報という点では注意が必要です。情報には、客観的な情報以外に、経験した人自身がつくりだす主観的な情報(経験を通じて感じたこと、自分なりの対処、考え方など)があります。これら経験者から得る情報は、同じような経験に基づいた悩みを共有することができたり、細やかな生活上の工夫点を教えてもらったり、今後の経過をイメージするうえで、参考になり、また心強いものだと思います。ただし、一人ひとりの治療や症状、効果は異なり、同じ病気の人の内容であっても必ずしも自分に当てはまるとは限りません。情報に関しては、下記の点を意識しながら検討しましょう。
◎ 経験者同士の情報の良い点、注意する点
○ 良い点
同じような経験をしているからこそわかる細やかな情報
情報交換し、治療体験を共有するなかで、同じ経験の相手と思いを分かち合う
○ 注意する点
同じ病気の人でも、人によって症状も治療の効果も異なる
古い医療情報や、間違ったり誤解を含んだ医療情報がある
![]() 健康と病の語りディペックス・ジャパン https://www.dipex-j.org/ ディペックス・ジャパンは、英国オックスフォード大学のDIPExをモデルにした日本版の健康と病いの「語り」のデータベースです。 がん経験者に関連した語りでは、乳がん経験者、前立腺がん経験者の語り、臨床試験・治験の語りなどが収録されています。映像や音声、テキストを通じて、がん経験者の声を知ることができます。 |