悩み

「治らない」と医師より告げられ、これから何をどうしたらよいのかひたすら戸惑ってばかりだった。



助言


【こころの反応】


病気の状況が厳しい場合などは、理解、納得しようとしても、こころがその状況についていけず、こころの防衛反応として、無意識にその事実を否定してしまう場合があります。
こういう時には、何度説明を受けても理解できないかもしれません。焦らず、気持ちが落ち着いてくるまで少し待つ姿勢が大切です。


 

【全体の状況を考えてみる】


気持ちが落ち着いてきたら、まず担当医の話をきちんと理解できているか、よくわからないところはないかを少しずつ考えてみましょう。
これは自分が今後どうしていくかを考えていく上で、とても重要です。深刻な説明内容の時、自分では覚えているつもりでも、最初の衝撃が強く、あとの話はただ耳を通り過ぎるだけで頭に入ってこないこともよくあります。
できれば、ご家族や自分がこころを許せる人と話をしながら整理していきましょう。人に話すということは、頭の中を整理することにもつながります。

担当医の説明は、患者さんの病気の状況、全身状態を考え、がんの治療を行うことの利点(期待できる効果やその患者さんの生活の質(QOL)との関係など)と欠点(治療を行うことでの危険性、副作用、体へのダメージ)を検討した上でのことだと思います。
がんの治療には、手術や放射線治療、抗がん剤治療など様々な治療法がありますが、治療法が多彩にあっても、全ての方に、どの治療法も行えるというわけではありません。
今後、他の病院でのセカンドオピニオンを受けるにしても、ご自分の現在の状態と治療の利点と欠点、生活の質(QOL)について、よく考え理解した上で、行動を起こすことが大切だと思います。


 

【がんとできるだけうまくつき合っていく治療もあります】


がんの治療の目的には、『治すための治療(治癒をめざした治療)』と『がんとできるだけうまくつき合っていく治療』があります。
転移している状況でがんが見つかったり、がんの再発や転移がわかったりした場合、治療の目的は『がんとできるだけうまくつき合っていく治療』です。
このようなとき、患者さんやご家族は、医師から治療の説明を受けるなかで、『がんとできるだけうまくつき合っていく治療』ではなく、『治すための治療(治癒をめざした治療)ではない治療』という否定的な意味合いを感じ、強いショックや動揺を受けることがあります。ただ、『がんとできるだけうまくつき合っていく治療』というのは、決して後ろ向きの治療でもないし、意味がない治療という訳でもありません。


 
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