悩み

最初の手術の時、どうして告知してくれなかったのか。年寄りだから知らせてくれなかったのか。



助言


【本人への告知】


現在では、がんの告知を患者さん本人にする病院が増えてきました。これにはいろいろな理由があります。1つには、本人への告知を希望する人が日本でも増えているということです。これは自分の病気なのだから自分自身の問題として受けとめたいということだと思います。
何より大事なのは、最善の治療を選ぶためにも患者さんと医療者の間で情報を共有し、コミュニケーションをとり、協力して治療にあたることです。


 

【納得して治療を行っていくために】


実際の告知のとき、患者さん本人の意思だけでなく、ご家族の意向も確認している場合がほとんどです。
がんの告知に関するいくつかの調査によると、自分が患者になったら知らせて欲しい人は約80%であるのに対し、家族がかかったとしたら本人に知らせると回答したのは約40%でした。この結果から、患者本人、家族という立場により、考えに違いがあることがうかがえます。
家族の立場としては、告知することで患者さんの気持ちが大きく乱れ、症状や治療の苦痛に加えて、がんというマイナスのイメージや不安と戦う日々を想像されるかもしれません。
しかし、たとえ患者さんが高齢であっても、その人自身の大切な人生に関わることです。
患者さん自身が納得して治療を行っていくために、患者さんがこれまでに築いてきた価値観や思いを尊重して、ご家族、医療者が共通の認識をもつことが大切だと思います。3者がそろって話をするとよいと思います。


 

【告知を受ける患者さんとご家族の心構え】


告知によるこころへの衝撃はとても大きなものがあります。たとえ厳しい内容の告知であっても、医師の説明によって患者さんの気持ちはずいぶん変わります。
診断の結果を聞く時には、患者さんもご家族もとても緊張しています。特にその前にがんの疑いがあるという話を聞いていれば、なおさらその不安と緊張は大きいと思います。そこで、ここでは説明を受ける患者さんやご家族側がどうしたらよいのかについて、いくつかお話ししたいと思います。

<説明を受ける患者さんとご家族の心構え>

1. 医師から病気や治療の説明を受けるときは、家族や親しい人に同席してもらいましょう
これは、心強さという面もありますが、医師の前ではほとんどの方が緊張します。特に診断結果や治療について聞くときは、内容によっては激しいショックや動揺が起こります。このようなときに、医師の説明のすべてを理解するというのは難しいものです。また、説明でよくわからないことがあっても、そのまま聞き流したり、説明が音としては耳に入ってくるのに後で思い返すと全く覚えていないということもあります。

2. メモをとるようにしましょう
医師の説明を聞くときには、メモを用意し、重要だと思ったことなどをメモしましょう。説明を聞きながらメモをとるのは自信がないということであれば、医師に申し出て、説明を録音してもよいでしょう。ただし内緒で録音するというのは、礼儀に反し、その医師との関係を損ねる原因にもなります。録音する場合は、必ず医師に断ってからにしましょう。

3. わからない言葉があれば、途中でも確認しましょう
医師はなるべく患者さんにわかりやすい言葉を用いるつもりではいるのですが、無意識に専門用語を使用していることがあります。わからない言葉や内容があったら、医師の説明の途中でも、どういう意味か聞きましょう。

3. 気持ちが落ち着いてから、同席した方と、わからなかったことを確認しあいましょう
たとえ、こころの準備をしていても、その場では緊張と動揺で質問する余裕はないかもしれません。
その場合は、自宅に戻ってもう一度同席した方と話をしながら、わからなかったことを確認し、次回の外来の時などに確認しましょう。ショックや動揺が強い場合は、少し気持ちが落ち着いてからでもかまいません。


 
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