【治療を選択する難しさ】
これまで、病気やけがなどをした時、医師から「こういう状況だからこういう治療をします」と説明があり、「お願いします」というやりとりが行われることが多いと思います。それが、がんになると、治療の説明後に「治療を決めるのは患者さん自身」とか、「どの治療を受けるか次までに決めてきてください」と言われ戸惑ってしまうことがあると思います。
けれども、病気は自分の体に起こっていることですし、治療を受けるのも自分自身です。自分の体に起こっていることを理解し、治療それぞれのメリット(良い点)とデメリット(悪い点)、自分の生活や自分が大切にしていることよく考えてみましょう。ご家族やあなたが信頼する人々にご自分の気持ちを話し、意見を聞いてみてもよいでしょう。人との対話を通じて、あなたの頭の中が整理され、結論が出る場合もあります。
治療を決める際、参考になるものの一つに各学会が出している診療ガイドラインがあります。
診療ガイドラインは、標準となる診療の指針として、臨床試験や臨床研究の結果に基づき、有効性が確認されたものを集めて体系的に整理した資料です。
一部のがんに関しては、患者さん向けに書かれたガイドラインもありますので、ガイドラインに沿って検討することもできます。
なお、標準というと、『並』『ありきたり』という印象がありますが、それは誤解です。標準治療は、病気のある状況について、現時点で効果や安全性が最も高いことが確かめられている治療です。その意味では、標準治療こそ、最新の治療であると言うこともできます。
治療を受ける病院や医師を選ぶための一つの目安は、標準治療を受けられるかどうか、ということです。ただ、場合によっては、標準治療を踏まえた上で、担当医がさらに適切だと考える治療を提案することもあります。
担当医から治療方針を提示されたときには、その治療が標準治療にあたるのかどうか、標準治療とは異なるのであればその治療が自分に合っている理由はなぜなのか、確認してみましょう。
(1)国立がん研究センター『がん情報サービス』:それぞれのがんの解説 https://ganjoho.jp/public/cancer/index.html がんの部位別に、基礎知識、検査、治療、療養に関する情報があります。 (2)Minds(マインズ)ガイドラインライブラリ:診療ガイドライン https://minds.jcqhc.or.jp/ 公益財団法人 日本医療機能評価機構が運営する医療情報サービスで、さまざまな診療ガイドラインが掲載されています(がんだけではなく、さまざまな疾患のガイドラインが掲載されています)。医療提供者向けの診療ガイドラインと、一般の方向けのガイドラインの解説があります。 |