悩み

手術で乳房の形が醜くなったらどうしようという不安と、放射線の治療は何事もなく終わるのだろうかという心配があった。



助言


【乳がんの手術】


現在、我が国では、がんを摘出し乳房を温存する乳房温存術と、乳房全体を摘出する乳房切除術が行われており、乳房温存と放射線治療を組み合わせた乳房温存療法が増加しています。
乳房温存療法は、乳房温存術と放射線治療を含めた治療を指しています。乳房温存は、乳房内の再発を高めることがない、美容的にも患者さんが満足できる乳房を残すことができる、という二つを満たす時に行われます。


 
参考になるホームページ
(1)国立がん研究センター『がん情報サービス』:それぞれのがんの解説
https://ganjoho.jp/public/cancer/index.html
がんの部位別に、基礎知識、検査、治療、療養に関する情報があります。
(2)Minds(マインズ)ガイドラインライブラリ:診療ガイドライン
https://minds.jcqhc.or.jp/
公益財団法人 日本医療機能評価機構が運営する医療情報サービスで、さまざまな診療ガイドラインが掲載されています(がんだけではなく、さまざまな疾患のガイドラインが掲載されています)。医療提供者向けの診療ガイドラインと、一般の方向けのガイドラインの解説があります。

 

【乳房温存療法における放射線の副作用について】


乳房温存術を受けた方は、手術後の放射線治療が必要とされています。手術した部分やその付近の再発を予防するためです。
放射線治療により、少し疲れやすくなることもありますが、照射が終って、そのまま出勤することもできます。

放射線をあてた部位の症状としては、日焼けした時のように、赤くなったり、ほてった感じでヒリヒリしたり、かゆくなったりします。ただれたり、水ぶくれができることもあります。個人差がありますが、放射線療法を始めて3週間後ぐらいに、皮膚症状が現れることが多いようです。
治療が終了すれば、次第に治まってきます。皮膚をかいたり、こすったりしないようにしましょう。

◎放射線照射部位の皮膚の保護

○入浴は熱いお湯は避け、照射部位に石けんは使わないようにしましょう。
○放射線照射部位を圧迫するような下着は避けましょう。胸帯やスポーツブラなどの締め付けないものが良いでしょう。また、繊維による刺激も避けるようにしましょう。
○照射している部位は、直接日光にあてないようにしましょう。
○軟膏(なんこう)、湿布類は自己判断でつけないようにしましょう。


 

【治療へのイメージ】


がんの治療には、手術、薬物療法、放射線療法などがあります。それぞれの治療により、痛みを伴ったり、発熱や吐き気、食欲不振が出たりなどの症状や副作用を伴うことがあります。体につらい状態が続くと、体とこころは影響し合い、こころの方も不安定になってしまいます。そういったつらさを感じている上に、この先も治療を続けることを考えると、“自分はこのつらさに耐えられるだろうか”、“こういう状態がずっと続くのだろうか”と先行きの不安もあるのかもしれません。

医療の進歩は、新しい治療に限らず、副作用対策の面にもあらわれています。副作用を予防したり、やわらげるための薬や方法を用いながら、治療を行っています。
医療者は、治療中、できる限り患者さんのつらさを少なくするように副作用対策をしていきます。患者さんもつらいことがあれば、きちんと伝えることが大切です。治療は、患者さんと医療者の協働作業です。具体的に伝えることで、より適切な対応を行うことができます。医療者は、患者さんのつらさを軽減する方法を一緒に考えていきます。体のつらさ、そしてこころのつらさを軽くする方法は必ずあると思います。


 
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