悩み

転移のため放射線治療は無理と説明を聞いた。



助言


【全身の治療】


転移は、がん細胞が血液やリンパ液の流れにのってもともとがんができたところと別の部位に散ってそこで増殖してきたものです。そのため、見つかった場所以外にも、目にはわからない小さながん細胞が全身のどこかに存在している可能性が考えられます。そこで、手術や放射線といった局所の治療ではなく、全身治療である抗がん剤の治療が主に行われます。
治療の大きな目標はがんを治すことですが、現在の医療では完全に治らない場合もあり、このときは、病気の進行を遅らせること、症状をやわらげること、生活の質を保つことが目標になります。


 

【全体の状況を考えてみる】


気持ちが落ち着いてきたら、まず担当医の話をきちんと理解できているか、よくわからないところはないかを少しずつ考えてみましょう。
これは自分が今後どうしていくかを考えていく上で、とても重要です。深刻な説明内容の時、自分では覚えているつもりでも、最初の衝撃が強く、あとの話はただ耳を通り過ぎるだけで頭に入ってこないこともよくあります。
できれば、ご家族や自分がこころを許せる人と話をしながら整理していきましょう。人に話すということは、頭の中を整理することにもつながります。

担当医の説明は、患者さんの病気の状況、全身状態を考え、がんの治療を行うことの利点(期待できる効果やその患者さんの生活の質(QOL)との関係など)と欠点(治療を行うことでの危険性、副作用、体へのダメージ)を検討した上でのことだと思います。
がんの治療には、手術や放射線治療、抗がん剤治療など様々な治療法がありますが、治療法が多彩にあっても、全ての方に、どの治療法も行えるというわけではありません。
今後、他の病院でのセカンドオピニオンを受けるにしても、ご自分の現在の状態と治療の利点と欠点、生活の質(QOL)について、よく考え理解した上で、行動を起こすことが大切だと思います。


 

【セカンドオピニオンを受けるには】


セカンドオピニオンは、直訳すると『第二の意見』という意味です。この仕組みを使うと、病院を変えないで、担当医以外の医師から病気の状況や治療法に関する意見を聞くことができます。
セカンドオピニオンを受けるためには、担当医に「セカンドオピニオンを受けたい」ということをはっきり伝えます。すると、担当医が紹介状(診療情報提供書)を作成し、レントゲン写真などの検査データを貸してくれるので、それを持って紹介先の医師を受診します。多くの場合、セカンドオピニオンの窓口は予約制となっています。
“言い出しにくいから内緒で”と思われるかもしれませんが、担当医からの情報がなければ、検査を一からやりなおす必要がありますし、これまでの治療経過もまったく分からなくなります。
「担当医を疑うようで、話しにくい」とおっしゃる方は多いのですが、セカンドオピニオンは納得して治療を受けるためにとても大切なものです。あなたの担当医も、そのことを理解しているはずです。「自分で納得して治療を受けたいので、○○病院でセカンドオピニオンを受けてきたいと考えています。必要な書類をお願いできますか。」という風に、自分の気持ちを率直に伝えることが大切です。
セカンドオピニオンを受けたら、そこで聞いた話や情報を、後日、担当医に報告しましょう。
セカンドオピニオンを受けた結果、転院について、自分がこころから納得して決断できたのであれば、改めて担当医に転院を申し出ます。


 
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