悩み

中咽頭のがんの治療が終わりかけて再検査をしている時に食道がんと言われた。なぜ抗がん剤を注射し10か月も入院し、退院して抗がん剤を飲んだのに食道がんになるのか。咽頭がんの薬は他のがんには効かないのだろうか。一生、次のがんがまっているのかと悩んだ。



助言


【いろいろな抗がん剤】


抗がん剤は、たくさんあります。抗がん剤は、どのがんにも効くのではありません。それぞれの抗がん剤には、治療の対象になるがんが決まっています。言い換えれば、がんの種類によって、治療に用いられる抗がん剤の候補がいくつかあります。
また、ある抗がん剤が○○がんに使われているとしても、患者さんの病状によっては、違う治療が行われる場合がありますし、同じ病名、同じ抗がん剤を使っていても、治療の目的が異なる場合があります。


 

【多重がんの増加】


複数の、別の部位に、原発のがんがあることを、多重がん(重複がんとも呼ばれます)と言います。言い換えれば、性質のちがう独立したがんが、複数あるということです。
転移は、原発、つまりもとのがんが別の部位に飛び火することなので、多重がんと異なります。
多重がんは、昔に比べて増えてきています。平均寿命が延びたこと、一つめのがんが治るようになってきたことなどが関係していると考えられます。


 

【頭の中とこころの整理】


お悩みの文章では、ご自分のなかで気になっていること、疑問点が明確になっていると思われます。もし、疑問点が明確になっているのであれば、疑問点や気になる点を担当医に再確認していきましょう。わかったつもりでいても、もう一度頭のなかを整理してみたらよくわからない部分が出てきたというのであれば、時間をとってもらい、特に気になっている点や疑問点を中心にもう一度治療の説明を受けたいとお願いしてみてもよいでしょう。

ただ、一見疑問点などが明確になっているようで、実はそうでない場合もあります。たとえば、これから開始される予定の治療に対しての漠然とした不安感、治療の説明で自分が期待していたような治療方法や治療効果とは異なっていた場合など、頭で理解したり納得する前に、こころがその状況を受け入れがたくなっている場合があります。
あなたの場合は、どうでしょうか。医師からの説明が不十分でしたか。もしご家族が同席されていたら、あなたの理解とご家族の理解は一致していますか。
次から次へ疑問がわき、先の事先の事を考えてしまったり、いろいろなことが頭の中を駆け巡るようであれば、行動を起こす前に、まず人と話をしてみましょう。自分は担当医からどういうふうに病気の状況や治療の説明を受けたのか、その説明を聞いてどう思ったのかなど、人に話をしていくなかで、本当にわからなかったことや、本当はこうしたかったこと、こころの状態などに自分で気づくことがあります。人と話すというのは、ご家族でもいいですし、かかっている病院に相談窓口があれば相談員と話をしてみるという方法もあります。


 
参考になるホームページ
(1)国立がん研究センター『がん情報サービス』:相談先・病院を探す
https://hospdb.ganjoho.jp/
がん情報サービスの[相談先・病院を探す]では、全国のがん診療連携拠点病院や小児がん拠点病院、希少がん情報公開専門病院等の一覧が掲載されていて、さまざまな条件で検索できます。病名やがんの種類、地域や病院の種類、診断や治療の実施状況、小児がん治療後のフォローアップ状況、小児がんの治療方法やセカンドオピニオンの対応状況などから探すことができます。また、成人や小児の相談先・病院一覧を見るでは、相談支援センターの名称や電話番号、病院情報などを閲覧できます。
(2)公益財団法人 日本対がん協会:がん患者・家族の支援
https://www.jcancer.jp/consultion_and_support
日本対がん協会のホームページです。『がん患者・家族の支援』のページには、看護師やソーシャルワーカーが対応している『がん相談ホットライン』、事前予約が必要な医師による面接相談、医師による電話相談、社会保険労務士によるがんと就労の電話相談などの相談に関する情報があります。詳細は、それぞれのページをご確認ください。

 
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