【副作用症状の程度と頻度】
担当医から治療法の説明を受けるとき、治療の目的や予測される効果とともに、副作用や合併症の危険性が伝えられます。
さまざまな副作用を聞くと、それが全て自分に起こるように思えて、不安になるかもしれませんが、説明のなかにでてきた副作用症状は、“その治療に特徴的な症状”や、症状の程度(重さ)と頻度(確率)の観点から、“軽いけれど、よく起こる症状”、“まれにしか起こらないが、重い症状”というように整理できます。この分類にあてはめてから、いつ頃起こりやすいのか、どのぐらい続くのかなどを理解していくと、治療について考えやすくなると思います。
また、副作用には、予防のためにできることがあったり、起こったときに自分で気づき医療者に伝えることで、適切な処置ができたりするものもあります。
効果と副作用は、治療の内容によって異なり、たとえ同じ治療であっても、個人差があります。分からない点や疑問があれば、担当医に確認してください。
【治療選択時の整理点】
治療の選択を検討する時には、その治療による自分にとっての利点(その人自身にとって、あるいは病気をコントロールする点で良いこと)だけではなく、欠点(副作用、危険性、合併症の可能性、生活への影響のことなども含めて、その人自身にとって良くないこと)も含めて考える必要があります。
まず、担当医の説明を振り返りながら、頭の中を整理し、わからない点は担当医に確認しましょう。
この利点、欠点というのは、“自分自身にとって”ということです。たとえば『生活の質(QOL)』という側面を考えた時は、その人自身がどういう生活を望んでいるかによって、総合的な利点・欠点が変わることもあります。
また、治療は、どんながんの、どんな時期にでも効果があるわけではありません。利点が大きな治療でも、その人のがんには適応にならない場合もあります。
いろいろな側面から考えてみましょう。
1. なぜその治療が提示されたのか、 なぜその治療が必要なのか
担当医は、患者さんのがんの性質や進み具合、臓器の状態、体全体の状況などを十分考慮した上で、治療法を説明すると思います。
治療を決める時には、現在の病気の状況、自分の体全体の状況を十分理解する必要があります。
2. 治療の効果
治療の効果はどのくらい期待できるのか。治療の目標はどこにあるのか。
3. 治療の副作用、合併症など
○ 手術であれば、合併症、後遺症の起こる可能性はどうか。
○ 薬物療法や放射線治療では、どういう副作用が、いつ頃起こり、どのくらいの期間続くのか。
○ 副作用に対して、どういう対応策があるのか。
○ 今後の日常生活にどういう影響が出ると考えられるのか。
4. 治療のスケジュール
通院治療なのか、入院治療なのか。どういうスケジュールになるのか。
5. 治療の費用
保険適用なのか、保険適用外の自費診療になるのか。どのくらいの費用がかかるのか。
6. 日常生活・社会生活とのかねあい
仕事、家事・育児、趣味、性生活など、自分が大切にしていたり、社会での生活の中で、治療により影響が出ると考えられることは何か。