悩み

自分より13か月前に乳がんの手術をし抗がん剤治療をしていた友人が亡くなり、抗がん剤の効き目がないと思えて、受けたくなかった。



助言


【気持ちを整理することから】


患者さんにとって、親しくしていた同じ乳がんのご友人を亡くしたとき、親しい方の死という哀しみだけではなく、亡くなられた同病者であるご友人とご自分の今後を重ね合わせ、ショックや動揺が大きいことがあります。そして、こういうときは、よくないこと同士を結びつけてしまったり、悪い方へ悪い方へと考えがちになってしまうのも仕方ないかもしれません。
けれども、今あなたの前にある事実は、乳がんで抗がん剤治療を受けた多くの患者さんのなかの一人の方が亡くなったということ、その方が、13ヶ月前に乳がんの手術をしたこと、抗がん剤治療を受けたことだけです。
乳がんといっても、がんの大きさ、組織検査の結果による悪性度、転移の状況・・・とそれぞれ異なっているはずです。また、抗がん剤治療を実施したとしても、それが再発を予防するための術後薬物療法もありますし、転移・再発が起こって、がんの進行を抑えたり、生活の質を維持することを目標とした薬物療法もあります。それぞれ目標としている点も異なります。
このように考えていくと、あなたとお友達で共通する部分はほんの一部にすぎないということが理解できると思います。


 

【抗がん剤治療を理解する】


友人の方の死で、『抗がん剤治療の効き目がない』と思えたということですが、あなたに提示されている抗がん剤治療について、十分理解されていますか。
抗がん剤治療というと“からだにダメージがある”、“髪の毛が抜ける”、“毒のようなもの”というイメージが先行しがちかもしれません。けれども、現在ではできるだけ副作用を抑える工夫や対応が行われています。また、同じ薬であっても、患者さんによって副作用の程度は異なります。
副作用は、抗がん剤の影響で起こっているので、たとえば吐き気や食欲不振などの症状は、抗がん剤がからだの外に出てしまい、薬の影響がとれてくれば改善してきます。
あなたの受ける抗がん剤治療は、何を目標にして、どういうスケジュールで実施され、どの程度の効果が期待され、副作用やリスクはどのようなものなのか担当医によく説明を聞いてみましょう。


 

【友人の死のつらさはこころに押し込めない】


もし、あなたと亡くなったご友人の共通のお友達がいたら、そのお友達と亡くなったご友人についての、それぞれの思いやつらさについて、語り合ってみましょう。あなたの思いをお友達に聴いてもらったり、お友達の思いをあなたが聴いてあげましょう。思い出は、楽しかったこともたくさんあったはずです。お友達ががんとどう向き合っていたかも再確認できると思います。
共通のお友達との会話は、きっとあなたのつらさをやわらげるでしょう。


 
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