悩み

胸膜に転移したが、情報が少なく治療を選択する上での標準となるものがなく困った。



助言


【提供された情報を整理する】


情報が少ない、治療を選択する上で標準となるものがないというのは、担当医があなたに説明したことでしょうか。それとも、担当医の説明が不足していると感じているのでしょうか。
まず、今あなたが理解している現在の病気の状態と提示されている治療方針の内容について、整理してみましょう。もしかしたら転移が見つかったことで全部理解しているつもりが実は聞き逃していたり、わかったと思っていたのに後で疑問がわいてきたりすることがあります。できれば、紙に書き出してみると頭の中をもう一度整理でき、わからない点、疑問点、追加で知りたい点なども明確になりやすいと思います。
治療方法については、期待できる効果、副作用、起こりうる合併症、他の治療法と比べての長所や短所などを理解することが大切です。
治療の説明内容をご自分のなかで再整理したうえで、疑問点や不明な点をもう一度担当医に確認してみましょう。面談の時間をもう一設定してもらってもよいですし、次の外来時でもよいと思います。これは、この時点で、あなたの病気の状況に関しての情報を一番多く持っているのは、担当医だからです。
一方、一般的な情報として病気や治療の情報を得る方法として、ご自身のがんの治療方法について書かれた本を読んだり、インターネットで調べたりする方法があります。ただし、この場合も、インターネットで得た情報や本などに一般的に書かれている内容がそのまま自分自身にも当てはまるとは限らないので、医師に確認することが大切です。
大事なことは、いろいろな側面から考え、検討して、実際に治療を受ける自分自身が納得して決めることだと思います。


 

【セカンドオピニオンを受けてみる】


もう一つの方法として、セカンドオピニオンがあります。
セカンドオピニオンというのは、直訳すると『第2の意見』で、『診断や治療方針について、現在の自分の担当医以外の医師の意見を聞き、参考にすること』をいいます。
これは、
◎ 担当医に診察や治療方針の説明を受けたが、どうしたらいいか悩んでいる
◎ いくつかの治療法を提示されたが、迷っている
◎ 他の治療法がないか知りたい
などの場合に、ご自身が納得して治療を選択し受けるために、他の医師の意見も聞いてみるという方法です。

セカンドオピニオンを受ける効果は、次のようなことが考えられます。
◎ 診断や治療の妥当性(適切性)を再確認することで、納得して治療を受けることができます。
◎ 現在の担当医の提示する治療法以外の治療法の情報を得ることもあります。

セカンドオピニオンを受ける際には、担当医に「セカンドオピニオンを受けたい」とはっきりと申し出ることと、セカンドオピニオンは病院を移るのではなく、他の医師の意見を聞くことであることをよく理解しておくことが大切です。
もし、セカンドオピニオンを受けた病院での治療方法を選択しようと決心したら、その旨を現在の担当医に伝え、改めてその病院を受診するようになります。最初から病院を移るつもりの場合は、セカンドオピニオンではなく、転院として担当医に申し出ることになります。
“言い出しにくいから内緒で”と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、何も情報がないまま他の病院に移ると、また一から検査をしなければいけません。時間もお金もかかりますし、もし過去にがんの治療をされたことがある場合、その情報がないというのは、患者さんの病気をよく理解するための大事な手がかりを失うことになります。


 
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