【自分でできることを試してみましょう】
【入院治療によるからだへの影響と待ち時間】
がんの患者さんは、様々な要因から、からだの活動(運動)力が低下しやすい状態にあるといわれています。その原因としては、がんによって起こる代謝の亢進やエネルギー消費量の増加などによる消耗、手術、抗がん薬治療、放射線治療などの治療による消耗、不眠やストレス、強い不安感などの心理的な不安定による疲労、治療により一時的に安静が必要な場合、抗がん薬治療による吐き気やだるさなどで横になっている時間が長くなることによる運動量の低下などがあげられ、これらがいくつも重なって影響していると考えられます。
からだの活動能力が低下すると、歩行や階段の昇降など生活の中で行っている運動量が軽いものであっても、疲労感が出やすくなり、さらに体を動かすのがつらくなって、悪循環に陥ってしまいがちです。
このように退院直後は、体力低下を感じ、疲労感も強く感じることが多いといえます。
体調が万全ではない状態で、通院し、病院に着いてからも診察の待ち時間、検査の待ち時間、会計の待ち時間など、長時間椅子に座って待つことは、つらいことだと思います。
だからといって、治療上安静が必要な期間が過ぎ、自宅療養でよい体の状態になってもなお入院を続けることは、活動量をさらに減らしてしまうことになり、先ほど述べた悪循環に陥ってしまいます。
医療機関の待ち時間が短縮すれば一番良いとは思いますが、なかなか良い解決策がないのが現実です。医療機関は、待ち時間を減らすため、予約制の導入など様々な努力をしています。けれども、大きな病院に患者さんは集中しがちで、1日の外来患者さんが数千人の病院もあります。早急に処置が必要な患者さんが来院されたり、治療選択について普段より時間をかけて説明する場合も少なくありません。1日に診察する患者さんの数が多いと、徐々に時間がずれこみ、たとえ予約制でも待ち時間が1~2時間、あるいはそれ以上になってしまうこともあります。
【自分でできること、試せること】
現実を考えたときに、改善できることとできないことがあります。自分の体の負担にならないように、できることを試してみましょう。
◎ 予約制であれば、診察の予約時間を検討する
予約制の場合、午前中の早い時間の予約のほうが、予約時間がずれこんでいく確率は少ないでしょう。ただし、遠方の場合、朝早く自宅を出なければいけなかったり、通勤・通学時間と重なると車の渋滞に巻き込まれたり、混んだ公共交通機関で座れなかったりして通院だけで疲れてしまうかもしれません。その両面を考えながら希望や調整ができるようであれば担当医と相談してみましょう。
◎ 長時間待たなければならないとき、横になれる場所があるか確認する
長時間座っているのがつらいと感じたときには、外来の看護師に横になれる場所がないか聞いてみましょう。
◎ 待ち時間を有効に使う
診察を受ける前に、担当医に伝える必要があること、確認したいことなどもう1度考え整理してみる のも、積極的に治療に参加するためには、大切なことです。
外来診療では、診察時間が短いために、担当医に話そうとか確認しようと思っていたことでも、いざ担当医の前に座ると忘れてしまったり、タイミングを逸したりすることがよくあります。小さなメモ帳でもかまいませんので、伝えることや確認することを箇条書きなどで、書き留めておきましょう。こういったことは、ご自分の頭のなかの整理にもつながります。ご家族と一緒にこられていたら、ご家族と確認しあってもよいでしょう。
また、患者図書館などがある病院も少しずつですが、増えてきています。こういった病院に付属している設備を利用してみてもよいでしょう。
(最終更新日 2024年5月15日)