入院を待っている間も治療に向けた計画は進んでいる
入院までの待機期間は、入院予約数や疾患、治療法などによっても異なってきます。
特に、がん専門病院や大学病院などの大きな病院は、同じような治療目的の患者さんが多く、入院待ちが長くなりがちです。
患者さんの多くは、「がんは進行する病気」という認識があるため、がんと告知されると、一日も早く治療を始めなければならないと追い込まれた気持ちになります。
しかし、実際には、急激に大きくなるがんもないことはないのですが、ほとんどのがんは、何年もの時間を経て大きくなっていると言えます。
入院までの期間には、治療の前段階として治療に必要な全身状態の検査などを進めています。ですから、入院を待っている間は何もしていないというわけでなく、治療に向けた計画がその間も進んでいるのです。
以前は、こうした検査もすべて入院してから行われていましたが、現在は入院期間が短縮され、治療直前に入院することが多くなりました。
治療入院の前の目標設定
入院前のこの期間、あなた自身にできることがあります。
■ 治療に向けて体調を整える
■ 入院している間の仕事や家事の調整をする
■ 病気や治療について、理解して納得できているか、自分自身に問いかけてみる
目標に大きい、小さいはありません。自分なりの具体的な目標を決めて、達成するために行動してみましょう。
たとえば、体調管理の具体的な目標としては、睡眠を十分にとる、栄養のバランスを考えて食事を摂る、体力維持のために毎日ウォーキングをするといったことが挙げられます。
近年、治療後早期から活動を再開する重要性については、かなり知られるようになりました。一方、診断時や治療前の活動については、制限がないにもかかわらず、心理的に、控える患者さんが多いという研究報告もあります。
入院中はどうしても活動量が低下しがちです。活動量が少ない状態が入院前から長く続くと、筋力の低下などの悪影響が生じやすくなると考えられるので、これまでの運動習慣を維持するように心がけましょう。運動の習慣がない方も、気分転換を兼ねて、からだを動かすとよいと思います。
病気や治療について理解することも不安を軽くする
手術を受ける前は、どのようなものかイメージがつかないため、いろいろと悪い方へ考えてしまいがちです。
ここで、自分の頭の中を再整理してみてください。あなたは、担当医から病気や手術についてどのような説明を受けましたか。一緒に説明を受けたご家族が近くにいらっしゃるのであれば、担当医の説明内容をお互いに確かめ合ってみるとよいでしょう。また、説明の際に書いてもらったメモや資料があれば、それを見ながら確かめ合うのもよいでしょう。
手術とはどのようなものなのか、合併症などの可能性はどうなのか、術後はどういう経過となるのか、など1つ1つ整理してみましょう。そして、よくわからないことがあれば、外来時に担当医に確認してみましょう。
(更新日:2019年2月25日)