皮膚障害を起こしやすい抗がん剤について

一覧表を示します。

 同じ皮膚症状でも薬の種類や投与量によって、頻度が異なります。また、同じ薬でも症状の程度は個人差があります。下記の表ではこの小冊子の中で紹介している症状に絞って、薬別に起こりやすい皮膚症状をまとめました。

◆◆◆殺細胞性の抗がん剤(*)◆◆◆

(*)殺細胞性の抗がん剤とは・・・
細胞が分裂して増える過程に作用する抗がん剤。細胞増殖の盛んな細胞を障害します。

一般名※ 商品名※ 皮膚に関する副作用 対象となるがんの種類
フルオロウラシル

5-FU

フルオロウラシル(注)

手足症候群、色素沈着、爪の変化、掻痒感 胃がん、肝臓がん大腸がん、乳がん、膵臓がん、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん、食道がん、肺がん、頭頸部がん大腸がん、小腸がん
カペシタビン

ゼローダ

カペシタビン

手足症候群、色素沈着、皮膚乾燥、落屑、爪の変化、掻痒感

乳がん、胃がん
大腸がん

テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム

ティーエスワン*

(*他に多数の後発品があります)

手足症候群、色素沈着、皮膚乾燥、落屑、爪の変化 胃がん、大腸がん
非小細胞肺がん
乳がん、頭頸部がん、膵臓がん、
胆道がん
テガフール・ウラシル配合カプセル剤
テガフール(腸溶)・ウラシル配合顆粒剤
ユーエフティ配合カプセル
ユーエフティE配合顆粒
色素沈着、手足症候群、爪の変化 頭頸部がん、胃がん、大腸がん、肝臓がん、胆のう・胆管がん、膵臓がん、肺がん、乳がん、膀胱がん、前立腺がん、子宮頸がん
シタラビン

キロサイド

シタラビン

発疹、手足症候群(高用量) 急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、悪性リンパ腫
ドキソルビシン

アドリアシン

ドキソルビシン

色素沈着 悪性リンパ腫、肺がん、消化器がん
乳がん、膀胱腫瘍、骨髄腫、など
リポソーム化ドキソルビシン ドキシル 手足症候群、発疹、色素沈着、爪の変化 卵巣がん、エイズ関連カポジ肉腫
エピルビシン

ファルモルビシン

エピルビシン

色素沈着、掻痒感、爪の変化(色) 急性白血病、悪性リンパ腫、乳がん、卵巣がん、胃がん、肝臓がん、膀胱がん、腎盂・尿管腫瘍
ドセタキセル

タキソテール

ドセタキセル

ワンタキソテール

手足症候群、色素沈着、爪の変化 非小細胞肺がん乳がん、卵巣がん子宮体がん、前立腺がん、頭頸部がん、食道がん、胃がん
パクリタキセル タキソール
パクリタキセル
発疹、色素沈着、手足症候群、皮膚乾燥、爪の変化、掻痒感 非小細胞肺がん乳がん、卵巣がん子宮体がん、胃がん
パクリタキセル
(アルブミン懸濁型)
アブラキサン 発疹、爪の異常、手足症候群、皮膚乾燥、色素沈着 非小細胞肺がん乳がん、卵巣がん子宮体がん、胃がん、頭頸部がん、食道がん、血管肉腫、子宮頸がん、胚細胞腫瘍
エトポシド

ベプシド

ラステット

エトポシド

発疹 小細胞肺がん、悪性リンパ腫、急性白血病、睾丸腫瘍、膀胱がん、など
メトトレキサート

メソトレキセート

メトトレキサート

色素沈着、光線過敏症、ざ瘡

肉腫、急性白血病、悪性リンパ腫など

ブスルファン ブスルフェクス
マブリン
発疹、紅斑、色素沈着、掻痒感 慢性骨髄性白血病
ブレオマイシン ブレオ 発疹、色素沈着、
爪の変化
皮膚がん、頭頸部がん、肺がん、
悪性リンパ腫、食道がん、子宮頸がん、神経膠腫、甲状腺がん、など
シスプラチン シスプラチン
ブリプラチン
ランダ
発疹、色素沈着、
掻痒感
肺がん、消化器がん、婦人科がん、泌尿器系のがん、など

 

◆◆◆分子標的型の抗がん剤(*)◆◆◆

(*)分子標的型の抗がん剤とは・・・
がん細胞に存在する特殊な物質を標的にしてピンポイントで攻撃する抗がん剤。

一般名※ 商品名※ 皮膚に関する副作用 対象となるがんの種類
ゲフィチニブ

イレッサ

ゲフィチニブ

ざ瘡様皮疹、発疹、皮膚乾燥、爪の変化 非小細胞肺がん
エルロチニブ タルセバ ざ瘡様皮疹、皮膚乾燥、爪囲炎 非小細胞肺がん
アファチニブ ジオトリフ ざ瘡様皮疹、発疹、爪囲炎、皮膚乾燥、掻痒感 非小細胞肺がん
オシメルチニブ タグリッソ ざ瘡様皮疹、皮膚乾燥、湿疹、爪囲炎  非小細胞肺がん
ダコミチニブ ビジンプロ 爪囲炎、ざ瘡様皮膚炎、皮膚乾燥、掻痒症、発疹・斑状丘疹状皮疹・紅斑性皮疹等 非小細胞肺がん
セリチニブ ジカディア 発疹 非小細胞肺がん
ロルラチニブ ローブレナ 発疹 非小細胞肺がん
ラパチニブ タイケルブ 手足症候群、ざ瘡様皮膚炎、皮膚乾燥、爪囲炎、 乳がん
パニツムマブ ベクティビックス ざ瘡様皮疹、紅斑、発疹、皮膚乾燥、爪囲炎 大腸がん
セツキシマブ アービタックス ざ瘡様皮疹、発疹、落屑、皮膚乾燥、手足症候群、爪囲炎 大腸がん
頭頸部がん
ソラフェニブ ネクサバール 手足症候群、発疹、掻痒感

腎細胞がん

肝細胞がん

甲状腺がん

アキシチニブ インライタ 手足症候群、発疹、皮膚乾燥 腎細胞がん
ベバシズマブ アバスチン 発疹、色素沈着、手足症候群、爪の変化、掻痒感

大腸がん、乳がん

非小細胞肺がん

卵巣がん、子宮頸がん、悪性神経膠腫

レゴラフェニブ スチバーガ 手足症候群、発疹 大腸がん、消化管間質腫瘍、肝臓がん
スニチニブ スーテント 手足症候群、発疹、皮膚変色、皮膚乾燥、爪囲炎、掻痒感

腎細胞がん

消化管間質腫瘍

膵神経内分泌腫瘍

イマチニブ

グリベック

イマチニブ

手足症候群、発疹 慢性骨髄性白血病、消化管間質腫瘍、急性リンパ性白血病
ペルツズマブ パージェタ 爪囲炎、発疹、掻痒感 乳がん
トラスツズマブ

ハーセプチン

トラスツズマブ

ざ瘡様皮疹、発疹、爪の変化、掻痒感 乳がん、胃がん
ダサチニブ スプリセル 皮膚乾燥、発疹
手足症候群、爪の変化
慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病
ロミデプシン イストダックス 発疹 末梢性T細胞リンパ腫
ポナチニブ アイクルシグ 発疹、皮膚乾燥 慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病
リツキシマブ リツキサン 発疹 非ホジキンリンパ腫
ゲムツズマブ

マイロターグ 発疹、爪囲炎、掻痒感 急性骨髄性白血病
イキサゾミブ ニンラーロ 発疹、掻痒感 多発性骨髄腫
フォロデシン ムンデシン 発赤、掻痒感 末梢性T細胞リンパ腫
エベロリムス アフィニトール 発疹、皮膚乾燥、
掻痒感、手足症候群、ざ瘡、爪の変化
腎細胞がん、神経内分泌腫瘍、乳がん など
テムシロリムス トーリセル 発疹、爪の変化、掻痒感、ざ瘡様皮疹、皮膚乾燥 腎細胞がん
ボルテゾミブ ベルケイド 発疹、紅斑、掻痒感、ざ瘡様皮疹

多発性骨髄腫

マントル細胞リンパ腫、原発性マクログロブリン血症、リンパ形質細胞リンパ腫

クリゾチニブ ザーコリ 発疹、紅斑、掻痒感、光線過敏症 非小細胞肺がん
アレクチニブ アレセンサ 発疹、光線過敏症 非小細胞肺がん
パゾパニブ ヴォトリエント 毛髪変色、手足症候群、発疹、皮膚色素減少 悪性軟部腫瘍
腎細胞がん
ベムラフェニブ ゼルボラフ 発疹、光線過敏症、過角化、掻痒症、皮膚乾燥 悪性黒色腫
(メラノーマ)
ダブラフェニブ タフィンラー 皮膚乾燥、掻痒症、ざ瘡様皮膚炎、紅斑、日光角化症 悪性黒色腫(メラノーマ)、非小細胞肺がん
トラメチニブ メキニスト 皮膚乾燥、掻痒症、ざ瘡様皮膚炎、紅斑、日光角化症 悪性黒色腫(メラノーマ)、非小細胞肺がん
ベンダムスチン トレアキシン 発疹、掻痒感 低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病
パルボシクリブ イブランス 発疹 乳がん
アベマシクリブ ベージニオ 掻痒症、発疹、皮膚乾燥 乳がん

 

◆◆◆免疫治療薬(*)◆◆◆

(*)免疫治療薬とは・・・
自分の免疫細胞が、がん細胞を排除しようとする働きを助ける薬。

一般名※ 商品名※ 皮膚に関する副作用 対象となるがんの種類
ニボルマブ オプジーボ 発疹、掻痒症、皮膚乾燥、尋常性白斑、紅斑および丘疹、毛髪変色 など 悪性黒色腫(メラノーマ)、非小細胞肺がん、腎細胞がん、頭頸部がん、胃がん、古典的ホジキンリンパ腫、悪性胸膜中皮腫
イピリムマブ ヤーボイ 掻痒症、発疹、皮膚乾燥 など 悪性黒色腫(メラノーマ)、腎細胞がん
ペムブロリズマブ キイトルーダ 掻痒症、発疹、皮膚乾燥、尋常性白斑、紅斑および丘疹 など 悪性黒色腫(メラノーマ)、非小細胞肺がん、古典的ホジキンリンパ腫、尿路上皮がん など
アテゾリズマブ テセントリク 発疹、掻痒症、皮膚乾燥、紅斑および丘疹 など 非小細胞肺がん
デュルバルマブ イミフィンジ 発疹、掻痒症、皮膚乾燥、 紅斑および丘疹 など 非小細胞肺がん
アベルマブ バベンチオ 発疹、掻痒感、紅斑および丘疹 メルケル細胞がん

※薬の一般名と商品名
「一般名」とは薬の有効成分を示す名前です。これに対して「商品名」とは製薬企業が医薬品を販売するためにつけた名前です。

 

抗がん剤治療と皮膚障害

抗がん剤治療と皮膚障害